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「そう、たえよ。あなたとちがう。でも、あなたにひどいことはしない」
「…うそ」
おねえちゃんが立つ。
あたしはさっと頭をかばった。
きっと、おこってたたくと思ったから。
…でも、おねえちゃんは手をあげなかった。
「こわいのね」
「こわくなんかないっ!!」
おねえちゃんは首をかしげる。
あたしは、うんって言ったらきっとばかにされると思ってた。
でもおねえちゃんは、笑わなかった。
ただ、くるっとむこうをむいた。
「あ…」
あたしは、こわくなる。
ひとりぼっちでおいていかれるのが、こわくなる。
おねえちゃんが、木をたたく。
「あかりを、もう一つちょうだい」
言ったとたん、木の実の一つがぱぁっと光ってじめんに落ちた。
おねえちゃんはそれをひろって、あたしの方にむけた。
あたしはあわててはなれた。
きっとあついと思ったから。
「あかりよ。だいじょうぶ、あつくないわ」
おねえちゃんが光ってる木の実を手でさわった。
へいきそうな顔だった。
あたしは、それをこわごわ受け取った。
「ついてくる?それともかえりたい?」
あたしはちょっとかんがえた。
いえにはかえりたくなかった。
かえるところなんてないと思った。
「…いく」
こたえたあたしに、おねえちゃんは笑ったままさみしそうな顔をした。
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