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放課後になり俺は則和と学校のテレビを使って朝のテープを見る事になった。
「なぁ、やっぱやめようぜ、則和」
「なんだ、お前まだ怖がってんのか?」
ぐ…と唇を噛む。
「別に…怖い訳じゃない。ただ……」
不気味、なんだ。
誰のものか分からないことにさえ俺は不安を覚えていた。
則和が俺のことなど気にもせずいそいそと準備をしている。
できるもんなら怒鳴ってやめろと言いたいくらいだった。
「よし、行くぞ」
テレビにテープが挿入される。
画像が写し出されるまで数分待った。
ふと教室の静けさに違和感を感じた。
いつもなら騒がしいくらい外からも他の教室からも声が聞こえてくるはずなのに。
全然聞こえない。
おかしい。
ドクンドクンと心臓が震える。…なんだ、この感じは。
「映るぞ!」
画面がゆらゆら揺れて砂嵐が消えていく。
「ーひっ!!」
思わず悲鳴が漏れた。則和はただ呆然と画面を見つめている。
映っているのは長居信哉だった。
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