1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「うっわっ…眩しい…!」
朝になったら案の定、眩しさで目が覚めた。
明るくなり始めたばかりなのか、空はほんのり赤みがかっているが、俺には十分過ぎる程眩しかった。
それもそのはず、昨日の夜に月明かりが直接入って来ていたように、この部屋の窓は日の光りが直接目に入って来るのだ。
カーテンを着けるかベッドの位置を変えるなどの工夫をすれば良いのに…
朝っぱらから目覚めの悪い俺は嫌な気分になった。
それでもこちらは厄介になってる身、文句は言えない。
昔からそうだが、俺は日の光りが苦手だ。
直射日光を浴びたからと言って死ぬわけではないが、強い光りを浴びていると目眩がする。
朝日は昼間の太陽に比べると優しいものだが、それでも苦手なものは苦手だ。
こめかみの辺りが痛くなって、両目に手をあて、ぎゅっと目をつぶる。
ふと、時間が気になって、目をうっすらと開け、手元に時計がないか探してみる。
奴らから逃げる前に簡単な身支度はして来たので、それなりに荷物はあるはずだ。
黒のレザージャケットと少しばかりの食料が入ったリュックがあったはずだ。
先程まで眠っていたのだから勿論ジャケットを着ていない。
辺りを見回しても見当たらず、多少の焦りを感じた。
ジャケット自体はそんなに高価なものではないが、そのポケットに入っているものが肝心なのだ。
あの中には金で出来た懐中時計と銀にダイアモンドをちりばめたクロス(十字架)が入っている。
最初のコメントを投稿しよう!