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 宮崎由衣は他人事のような口調でそうつぶやくと、なにげなく腕時計に目をやった。 時刻は午後10時を過ぎたところだった。  私立黎明女子学院高校の渡り廊下に面した窓からは、汚れた空気のせいで星はまったく見えない。 だがその代わりに、ホットケーキのような満月がポカリと浮かんでいるのが見えた。
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