29人が本棚に入れています
本棚に追加
『溢したスープ
片付けておきなさい』
「……はい、お母様」
込み上げる熱いものを押さえ部屋を出た
どうしてこんな目に会わなくちゃいけないの?
元はと言えば私のお屋敷なのに…
そうよね お父さん
私はお母さんとお父さんの間に生まれた一人娘
ブロンドの髪に緑の目
愛情たっぷりに育てられてきたの
立派なお屋敷に住んで…
毎日幸せだったの
だけどお母さんが死んでしまった
お父さんはしばらくしてから今のお母様をつれてきたわ
二人の姉も
お父さんが生きているときから三人は私に意地悪だった
お父さんにバレないように
私に意地悪をした
カエルの居る沼で裸にされ泳がされたこともある
クリスマスの夜に山に置き去りにされたこともあったわ
それから浴槽に頭を何度も潜らされたことも……
私は一階に駆け下り急いでキッチンに向かうと釜戸に火をくべた
コーンスープのかぶせれれたボロキレの様な服を雑巾で拭き
ナプキンを洗って窓辺に干した
顔を洗って
お皿を洗って
温かくなったコーンスープをお皿によそい
紅茶を淹れて
また階段を駆け上がった
「お母様、お待たせしました」
大理石のテーブルに朝食を出すと自分のエプロンで汚れた床を拭き急いで一階に向かった
身の丈以上はある山のようなのような洗濯物をを抱え外に向かう
溜め息の出るような光景
大きな洗い桶に洗濯物をぶちこみ
洗濯板で一枚一枚洗濯物を洗っていく
“可哀想なシンデレラ
僕らが手伝ってあげるよ”
「おはよう、ネズミさん カラスさん」
私の周りにお友達が集まってきたの
ネズミさんとカラスさん達よ
“可哀想なシンデレラ
僕らが洗濯物を洗ってあげる”
“可哀想なシンデレラ
僕らは洗濯物を干してあげる”
「まぁ助かるわ
ありがとう、ネズミさん カラスさん」
私は微笑んだ
“可哀想なシンデレラ
君はこんなに優しいのに”
“可哀想なシンデレラ
君はこんなに美しいのに”
「仕方がないのよ
ありがとう、ネズミさん カラスさん」
“いいんだよ
可哀想なシンデレラ”
“そうともさ
可哀想なシンデレラ”
そうやって沢山のネズミさんとカラスさんに手伝って貰い、洗濯物は片付いたの
最初のコメントを投稿しよう!