始まりを告げる光

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短く切り揃えられている綺麗な朱色の髪は、枕との摩擦で外側に跳ねている。 「あれ? 朝?」 夢から目覚めたばかりの少女インシェアは、まだ眠たそうな声でゆっくり呟いた。 「そうよ、もう起きなさい」 母親はそう言い、部屋のカーテンを勢い良く開ける。 寝起きのぼやけた目を擦りながら、インシェアは窓の外を見つめた。 「……?」 いつもなら、開けた瞬間に目を開けていられない位の陽が射し込んでくる筈なのに、今朝はそれがない。 母親の言葉を不思議に思う。 「でも外まだ暗いよ」 明け方の様な暗さの外。 その不気味な程の暗さが、インシェアの脳内に疑問を抱かせた。 インシェアの言葉が母親を誘ったかの様に、その母親も窓の外を見つめた。 顔色一つ変える事のない母親の瞳は、直ぐにインシェアの顔へと向けられた。 「村長が呼んでるのよ。何やら急な用事みたい」 「村長が? 何だろう……。わかったわ、すぐ行くね」 インシェアはそう言って、先程まで体を預けていたふかふかのベッドから這い出た。
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