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――――――――????
大きな木々が太陽の光をその葉でいっぱいに受けている
見上げれば万華鏡のようにキラキラと輝く空
風が吹けば葉が擦れ合い 音を奏でる
ある一本の木の下に 少年が寝転んでいる
「・・・やぁ また来たんだね」
人差し指に白い蝶がとまっていた
「ふふ そっか 」
蝶と話をしているように見える
「よいしょっ と」
少年は蝶を気にしながら
ゆっくりと立ち上がった
「もう行かないと」
そう言って蝶を羽ばたかせ
空に放った
「さて 僕も<彼>の所にいかないと・・・」
――――――――ユニフェルの家
「ちょっ?!どうしたんだい?それは!」
家の扉が叩かれ ユニフェルは開けた
そこにいたのは服が裂け 無数の切り傷があるシヴを抱いているトールだった
「ベッドに寝かせな! それから薬を持ってきな!」
ユニフェルはシヴの服を裂いて お湯で濡らした布で傷口を拭き始めた
「傷口は浅い・・・ これならなんとかなるね」
絞った布を胸に被せた
すると扉が開きトールが息を切らせながら入ってきた
「・・・薬、持ってきた」
それをユニフェルに渡し 部屋を出た
ユニフェルは薬をシヴに優しく塗り
語りかける
「スクルドもあんたみたいな奴だったよ・・・ ま、あんたとは初対面だけどね」
クスッと笑い また話を続けた
「すっごく優しくてさ 決めたらそれを通そうとしたり 妙に人懐っこいし・・・なんか あんたを見た時 スクルドを思い出した」
ユニフェルの手は次第に止まり
目には涙が溜まっていた
鼻をすする彼女は シヴに服を着せ
ベッドに腰を落ち着かせた
しばらくは無言のまま
シヴも苦しんだ表情は無く 眠っている
「スクルドが死んだ なんて思いたくないね・・・」
そう言って ユニフェルは顔を下に向けた
ほんのすこしだけ 床に雫が落ちた
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