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「・・・ユニフェル シヴはどうだ?」
扉の外から声がした
「ああ 大丈夫だよ。・・・・入らないのかい?」
「俺はちょっと用があるからまたにするよ」
そう言って 扉の外の気配が消えた
「そうか」
ユニフェルは剥き終えたリンゴを皿にのせて言った
それに白く四角い布を被せ
「食べるときまで 冷えていてくれ」
するとうっすらと布からは冷気があらわれていた
ユニフェルはそれを確認し
部屋から出た
夜
空には陽の光が消え
幾つもの星の輝きが 変わりに世界を照していた
静寂が包み
安らかな時間が流れていた
ただ トールは違った
大木を軽く蹴り
葉を舞わせ それを正確に 当てていた
拳や蹴りを放つ度に 風の音がし
葉に当てる度に 弾く音がした
「もっと!」
動く速度が上がる
しだいに音が大きくなる
「っ!まだ・・・まだだ。」
反射速度を限界まで上げる
当然 体への反動は並大抵のものではなかった
限界は出そうと思っても 出ない
ましてやそれを継続させることは不可能
トールの音がずれ始めた
汗が止まらない
頭が痛い
目が霞む
体が熱い
「くっそぉぉぉぉぉぉ!!!」
足を前に踏み込ませ
腰を落とすと同時に大木目掛け
拳を放つ
だがその威力は無かった
そのままトールは倒れ
体全体で息をした
「弱いな、」
周りの静けさや疲労感もあり
いつしかトールは眠りについていた
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