FILE:01 予期

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村の人たちは昼食を取っていた 窓の隙間から流れてくるほのかなにおい 今 村人にとってはお昼 トールは誘惑に負けないように歩いた 必死に お腹を抑えながら   「ぁぁぁ~ ユニフェルに何か貰おう・・・」   そうぼやいた     ユニフェルの家の前についた ほかの家と同様に 魅惑のにおいを漂わせていた トールの空腹は限界にまで達し 力なくたたずんだ   「ゆ ユニフェル~」   扉を二、三叩き ユニフェルを呼んだ すぐに扉が開き ユニフェルが現れた トールを見るなり ため息をついて   「はあ まったく どこいってたんだい? 飯も食わずに・・」   やつれた頬をさすり 頭に手を置いた   「ま すぐに昼食の準備してやるから 座って待っときな」   トールは言われた通り テーブルに着いた コーンスープの甘いにおいが余計に空腹を刺激した ユニフェルが着々と食事の準備をしていく サラダに スープ 玄米 兎肉 目の前に置かれた   「よしっ こんなもんか・・・まだ食うなっ!!」   肉に手が伸びていたトールを一喝し シヴが寝ている部屋を見て   「シヴを呼んできて みんなで食べよう」   「・・・わかった」   こくんと頷き トールは立ち上がり部屋に向かった
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