FILE:01 予期

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沢山の色が混ざりながら 目の前を流れていく いや 自分がその方向に流されている   「あれ?・・・ここは どこ?」   先ほどまでユニフェルのベッドで寝ていたはずだった 隣ではユニフェルがリンゴを剥いてくれていたはず・・・   「・・・・夢の中?」   ぽつりと呟いた 誰に言うわけでもなく 自分に語りかけるわけでもなく ただ単に言葉が口からこぼれた   「どこに向かってるのかな・・」   どんどんと色の向こう側に向かっていた ずっと続くかもしれないような そんな空間 非現実な夢の世界 それでいて 妙な感覚 まるで 実際の 現実のような感覚   小さな光が見えた 最初は本当に小さな光 だけど 徐々に大きな光になっていった   そしてシヴは光に呑まれた   眩しくて目を開けていられないくらい   それも次第に消えていった シヴがゆっくりと目を開ける   「!・・・・な、に・・・これ、、」   何もない世界 人も 鳥も 木も 草花も 水も 風も 土も 空も   本当に何もない世界   シヴにはそれが 世界 だとわかった   そう感じていた 今までに無い恐怖感 絶望 一気にのしかかってきた   「これ、は 世界の終わり?」   震えた声 頬を涙が流れる 膝から崩れ 尻餅をついた もうなにも生まれない その哀しみが シヴから溢れでる   だが 何処からか声が聴こえる   優しい声   安心できる声   光に包まれ   シヴの夢は終わり 目が覚めた
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