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忙しなく人が行き交っている
俺はただその人たちを見ていた
自分が何をしたらいいのか
何を見ればいいのか
全く解らなくなっているときに
こういった行動を取るのだと
確認してしまう
横ではぴょこぴょこと跳ね回っている女の子を軽く無視し
立ち上がった
「あれ?どこにいくんですか?」
腑抜けた声で聞いてきた
全くこのオンナはぁ・・
「どこって、俺たちの使命を忘れたのか?」
「えと~」
首をかしげ 腕組みをしながら考えている
が
「考えてる振りをするな!」
ピシャリと言い捨て 歩き出した
後ろをまたぴょこぴょこと跳ねながら着いてくる
だからもう一度
「跳ねるな! いちいち気になるからっ」
と言い捨てる
俺たちの『使命』
それは数日前までさかのぼる
ハグリード神に呼び出された俺たちは 何の疑いもなくハグリード神に会ったのだ
ところが ハグリード神から伝えられたのは 不思議な 不可解なこと それは
「選定者が消息をたった」
その一言だった
俺たちはただただ ハグリード神が話すことをじっと聞いた
選定者とは 地上界において優秀な魂を選び 神界の戦士となるものを決める者 だそうだ
選定者は最高神オーディンに仕える 戦乙女≪ヴァルキリー≫だ
ハグリード神いわく 彼女らはそこらの神々より強く とても美しいらしい
まぁ最後のはどうでもいいが
なぜ消息をたったのか
「調べてきてくれ」
らしい
いや そんな大事なことをこんな下っぱ神官に頼むなよ
「はぁ・・」
ため息が自然に出てくる
この数日間 選定者の情報は何一つ得られなかった
地上界は何かと面倒で動きづらかった
「確か 情報を売ってくれる 情報屋がいるらしいんだが」
俺は先日 手に入れた情報を元に <トルア>という港街にいた
いろいろと街をまわってみたが これといって 情報屋らしき人物に出会うことはなかった
「疲れたな・・・ そろそろ宿を探すか?」
振り返るといるはずのシヴがいなかった
「ってまた!? 何回目だよ 街に行く度に迷子になるの止めてくれ」
愚痴をこぼしながらトールは路地をまわった
すると 数人に囲まれている影が見えた
「はぁ・・たく」
一息ついて トールは数人を背後から手刀で気絶させた
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