FILE:02 旅立ち

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決して広くはなく 狭くもない道に 所狭しと並べられた露天商が 行き交う人たちに 陽気に声を掛けている シヴにとって 見るものすべてが新鮮で 興味をそそられるものばかりだった 「お嬢ちゃんたちー甘い果物あるけど一つどうだい?」 腕っ節のある にこやかな露天商の一人が声をかけてきた 薄い布を頭に巻き 口元には部厚げなヒゲを生やしていた ガッハッハ という笑い方がとても似合いそうな出で立ちである 「ん?良く見たら マー婆さんとこの嬢ちゃんじゃねえか!」 シヴの手を引く女の子を見て 露天商が言った それまで数々の露天商の言葉を無視していた女の子は振り向き 「あっ!おっちゃん♪ なんだぁおっちゃんだったのか♪」 「いやぁ あんまりに小さくてな 嬢ちゃんかどうかわからなかったよ」 露天商が腕を組み 口を開けながら笑っている 女の子は 露天商の言葉に抗議をしていたが いつものやりとりなのだろうか 早々に話を止め 女の子は再びシヴの手を引きはじめた 「まずはこの港町自慢の場所を見せてあげるよ♪」 女の子の足取りは先程より 少し軽くなっていた
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