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決して広くはなく 狭くもない道に
所狭しと並べられた露天商が
行き交う人たちに 陽気に声を掛けている
シヴにとって 見るものすべてが新鮮で 興味をそそられるものばかりだった
「お嬢ちゃんたちー甘い果物あるけど一つどうだい?」
腕っ節のある にこやかな露天商の一人が声をかけてきた
薄い布を頭に巻き 口元には部厚げなヒゲを生やしていた
ガッハッハ という笑い方がとても似合いそうな出で立ちである
「ん?良く見たら マー婆さんとこの嬢ちゃんじゃねえか!」
シヴの手を引く女の子を見て 露天商が言った
それまで数々の露天商の言葉を無視していた女の子は振り向き
「あっ!おっちゃん♪ なんだぁおっちゃんだったのか♪」
「いやぁ あんまりに小さくてな 嬢ちゃんかどうかわからなかったよ」
露天商が腕を組み 口を開けながら笑っている
女の子は 露天商の言葉に抗議をしていたが いつものやりとりなのだろうか
早々に話を止め 女の子は再びシヴの手を引きはじめた
「まずはこの港町自慢の場所を見せてあげるよ♪」
女の子の足取りは先程より 少し軽くなっていた
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