FILE:02 旅立ち

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連れて行かれた場所は町の広場を東に歩き 海を背にし ほんの少し歩いた小高い丘だった 「こ、こんなにも船がいっぱいなんて…」 シヴは港に入っている何十もの船を見下ろしていた 広場や港付近を歩いていたときは こんなにも船が入港していたなど ほんの少しも考えていなかったのだ 最も 船を見る ということが シヴにとっては 貴重なことだった 「そんなにも喜んでもらえるなんて…」 アホ毛をヒョコヒョコと動かしながらシヴに言った 「この場所はね ボクが小さくて 独りぼっちだったころ おばあちゃんがよく連れてきてくれた場所なんだ♪」 大きさ 様式 様々な船が頻繁に入出港を繰り返していた 見送る人たち 手を挙げてそれに答える船乗り 荷物を積むために船長と相談している商人 大きな船を見るために集まった子どもたち 「ここからだといろんな人や物が見えてくるんだ…」 芝に座り ただ眼下に広がる景色を眺めた 太陽の光を波が反射し 光が揺らめき まるですべてが輝きに満ちあふれているかのようであった シヴもまた 隣りに座り 同じように景色を眺めていた しばらく見とれていると 彼女はゆっくりと言葉を紡いでいった 「ボクは…ここですべてを見て知った…」 「独りぼっちだったボクに この場所はすべてをくれたんだ…」 そう呟く彼女の言葉には 喜びが感じられなかった…
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