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―――――――――ツェダ草原
「ここら辺で 良かったのか?」
布で巻かれた大きな物を背負っている少年が
広い草原の ある一点の場所を目指し 歩いている
ここツェダ草原は ハグリード宮殿を出て 直ぐの所にあった
トールは今 ハグリード神に挨拶を済まし
ある頼み事をされたのだ
「さっそくで悪いのだがトール」
優しく置かれた手をどかし
「人を迎えに言ってほしいのだ」
「? わかりました」
ハグリードは 椅子に戻り 続けた
「当面 トールと行動を共にしてもらう者だ」
トールは膝をついたまま 聞いている
「簡単に言うとパートナーだ ツェダ草原にある 大きな木の所で待ち合わせをしておいた」
「あの パートナーとはいったい・・・」
トールが 難しい顔をして聞いた
「それは パートナーに聞いてもらおうか」
ハグリードは笑い 話を流した
「では トールに命(めい)ず!」
鋭い声がトールに伝わる
「ハグリードの命において ツェダ草原でパートナーと会せよ!」
「はっ!!」
短く返事をし 部屋を出た
トールは既に 指定された木の下に来ていた
ハグリード宮殿からでも見える大きな木は 近くで見ると
その大きさに 驚かされるぐらいだった
「俺の・・パートナーか・・」
トールは木を眺め 呟いた
木の周りをぐるりと見て回った
が 人らしい人が見当たらなかった
「おかしいな・・・」
空しく 風が抜けていく
いくらか 時間が過ぎた
木にもたれ掛かって パートナーを待っていた
次第に トールは暇潰しと思い 落ちてくる葉っぱを殴ったり 蹴ったりしている
それも すべて外すことなく <ぱん> という音を出している
葉っぱが落ちてこなくなったら 木を揺らし 意図的に落としていた
「ふぅ」
顔には汗がにじんでいた
「よし ラストは盛大に」
拳を強く握り 腰を思い切りひねる
足を前に踏み込ませる
力が地面に伝わり へこむ
同時に 拳を突き出し
木を殴った
<どおおおん> という大きな音と 木の揺れと 共にすごい数の葉っぱが落ちてきた
「よしっ!」
と 構えた そのとき
「きゃあああああああああああああああああ」
と 頭上から悲鳴が上がった
トールが上を見ると 1人の女の子が
落ちてきた
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