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自動機動兵器は何事もなかったかのようにたたずんでいる。
「くそっ!」
ロヨラはロケット砲を地面に投げつけた。
自動機動兵器のサーベルが今度はロヨラ目掛けて振り下ろされる。
ロヨラは逃げようとはしなかった。
「最後までお前の仇を討てなかった、すまない、ミイユ」
天を仰ぎ亡き妻の名前を呟くとロヨラは目を閉じた。
「父さん!」
突進してきたロメがロヨラを突き飛ばした。
すぐあとにサーベルがロヨラのいた位置を切り裂いた。
ロメとロヨラは間一髪で攻撃から逃れ瓦礫の山を転がった。
「ロメ! 逃げろと言ったはずだ、なぜ戻ってきた」
「父さんに借りを作ったまま死なれたら困るんだよ」
「勘違いするな、集落の皆が避難する時間をかせぐために来ただけだ、誰が馬鹿息子なんか助けに来たと言った」
「あれ、俺達もう親子でもなんでもないんじゃなかったっけ? 馬鹿息子とか呼ばないで欲しいんだけど」
ロメが軽口を叩くと、
「お前の方こそ突き飛ばした時、俺のこと父さんとか呼んでいなかったか?」
ロヨラの反撃にロメがばつの悪そうな顔をする。
そんな二人のもとへ自動機動兵器が容赦なきサーベルを振り下ろしてくる。
「逃げよう、父さん」
ロメはロヨラの手を引いて駆け出した。
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