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傾き、今にも倒れそうな物見台の手すりにロメはぶら下がっていた。
「いい加減降りて来い!」
「誰が降りるもんか、ここで俺はポルタの人達を守るんだ!」
ロメとロヨラはお互い一歩も譲ろうとしない。
「守るだと!? そこでうるさい鐘を叩くしか能の奴が、笑わせるな!」
「うるさい! 家で震えてるだけの父さんにそんなこと言われたくない!」
ロヨラがまた物見台を叩くようにと指示を出そうとした時、小さく地面が振動した。
振動は少し遅れて物見台の上のロメにも届いた。
「この揺れは・・・、まさか!?」
ぶら下がったままロメが辺りを見回す。
集落の西側から自動機動兵器の軍団が迫っていた。
ロメは急いで這い上がると小さなハンマーで物見台の上に設置した鐘を思い切り打ち鳴らした。
「西だ! 西から奴らが来る、みんな逃げろ!」
その声に物見台に集まった男衆は蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
「やけに数多いな、どういうことだ」
いつもなら2、3機程度の自動機動兵器が今日は10機近くいる。
「ロメ、早く降りてこい! 死にたいのか!?」
物見台の下に一人残っていたロヨラが叫んだ。
「どこに逃げたって同じじゃないか」
言い知れぬ不安を感じながらロメは物見台から駆け下りた。
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