ストロベリー・ジャム。

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🍒 🍒 🍒 明日はあたしの誕生日。 去年の明日、博之と彼女を見掛けてうちひしがれた。 最悪な、誕生日から一年。 今も状況は変わらない。 『真知子、明日暇なら🎤行かない😆⤴⤴⤴?パーっとお祝いしようよ😃✨』 実花から、メールが来て、あたしは嬉しくなった。 『行く行くぅ😆😆😆🎤🎤🎤ありがと実花、愛してる😭‼‼‼』 知り合って3年の友達はあたしの誕生日を覚えててくれているのに、 どうして18年の付き合いの博之は、覚えててくれてないのか。 思って、切なくなる。 それは彼の中で、 あたしがそれだけの存在だからだ。 分かってるのに、改めて思うとすごく悲しくて。 どうしたら、博之に近付けるんだろう? アイスを食べたくてコンビニに行くと、 また、博之に会った。 家から近くにコンビニはここ一ヶ所だから、別におかしいことじゃないし。 けど、あたしの心臓は、悲鳴をあげる。 18年、近くにいたのに。 いつから、あたしの中で彼の存在が変わったんだろう。 「彼女と待ち合わせ?」 ああ、もう。 あたしって最低。 なんでそんな聞き方をしちゃったんだろう。 博之は、 「いや、アイスを買いに」 と、短く答えた。 あたしの心の中は、 嫉妬にまみれてて、 そんな自分の発言が嫌で、 泥沼状態だ。 「あたしもアイス買いに来た。ね、明日、なんの日か知ってる?」 「え?」 笑顔のあたしが、博之のきょとん、とした瞳に映ってる。 すごく、間抜けなあたし。 「あたしの誕生日なんだけど」 「・・・ふぅん」 笑顔のまま。 何それ、反応薄いし。 明るく突っ込むあたし。 馬鹿じゃないの。 最低。 あたしなんて、消えてしまえばいい。 家に帰ってバニラアイスの蓋を開けると、 溶けかけていて。 なんだか無償に、涙が出てきた。 博之が好き。 好き、好き。 好きすぎて、馬鹿みたい。 誕生日なんて、彼が覚えてるはずもないのに。 アピールして、どうすんだ。 あたしは何がしたいんだ。 本当に救いようがないほどに、 馬鹿みたい・・・。 例えば、他の男の子なら、もっと全然意識せず、 上手に会話できるのに。 一番、大切な人に、 一番、不器用にしかできないのは、 きっと、いろいろなことを考えて身構えてしまったり、 舞い上がってしまったり、 強がりを演じてしまうから。 もっと、素直なあたしで、 博之に告白したいと 溶けたバニラアイスを前に 泣きながら思った、 17歳、最後の日。
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