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次の日、学校に行くと安西の姿は無かった。
「おはよう、和司君…ねぇ、安西さんは?」
教室で談笑している和司君に聞いてみると…
「おはよ♪ユー©。安西?誰だ、そりゃ??」
え…?
僕は思わず固まってしまった。
「数日前に転校して来た…安西夕貴…。斎藤さんの隣で…昨日一緒にあとをつけ…」
「…あのなユー©」
話の途中だと言うのに、和司君は僕の言葉を遮った。
「昨日は俺はガールハントしてたぜ?しかも、斎藤の隣はずっと空席じゃないか。まったく、しっかりしてくれよー?」
皆クスクス笑ってこっちに視線を注いだ。
…嘘だ。
これは、新手のドッキリか?それとも、悪い夢でも見てるのか…??
「おはよ、呼んだ~?」
「斎藤さん…」
ポンッと背中を叩いてにっこり挨拶をして来た。
「葉子の隣に転校生が居たんだとー。」
ニヤニヤしながら和司君が説明した。
「何、それー。幽霊?」
斎藤さんはくすっと笑って目を丸くした。
皆、忘れてしまったのか…?
僕は鮮明に覚えてる。安西がどんなに大きな存在だったかが今、分かった。
心に空いた穴が、空虚感と悲しさを増膨させた。
「本当、だよ…居たんだ。」
ノイズが記憶から薄れた気がする。
「ユー©…」
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