298人が本棚に入れています
本棚に追加
「.....早く、起きて....遅れるよ?」
「あ、ああ.....分かってる」
「.......布団から....出てきてない。説得力ゼロ」
ばっ――と、布団が剥がされる。
「嫌ぁーっ、寒い、寒いよちなみ!」
「.....何、寝ぼけてるの...やめて」
抱きつこうとする俺を、静かに腕でおしとどめるちなみ。
「今日......何の日か、覚えてるよね?」
「え?.........あーっ!」
慌てて時計を見やる。
出発予定時刻、10分前。
「や、やべー!!な、なんで起こしてくれなかったんだよ!?」
「1時間も前から.....起こしてる......」
「あー、とにかく準備するぞ!」
半年の月日が流れ、冬が訪れた。
今日は遊園地へのダブルデートの日。
「二人とも、遅いっ」
「おいおい.....待ちくたびれたって」
かなみと、その横に並んだ、長身の男の姿。
――当然だ。1時間も遅刻したんだから。
「スマンスマン.....コイツが起こしてくれなくてさ...合鍵持ってるくせに」
ちょうど良い位置に頭があったので、コツンと小突いてやる。
「痛い.....女のせいにするなんて、最低....」
そんな俺たちの夫婦漫才を、二人は苦笑しながら見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!