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「そうか、じゃあ今度にするか」
「......え?」
「今度の土日あたりにさ...正式にどっか遊びに行こうぜ」
「なっ......嫌に決まってるじゃない、貴方とデートなんて」
「誰もデートとは言ってないぜ?」
「あ.........」
しまった、という表情で、少し頬を染めるちなみ。
「よし、じゃあ、デートだな。土曜日でいい?」
「イヤだって言ってる......」
「お前が言い出したんだろうが。明日の午後一時、例の噴水前でな」
「......行かない...からね」
ちなみはそう言うと、顔をそむけてしまった。
「待っててやるよ、せめて夕方までは」
「.........」
「じゃ、またな」
「.........バカ」
軽く手を振ってちなみと別れる。もちろん、向こうのリアクションはない。
(さて......)
ちなみをデートに誘う事が出来た。...出来た、よな?
とりあえず、約束の時間に待ってみるとしよう...
しっかし......
ちなみも丸くなったもんだ。
中学が離れて、高校で一緒になって。
最初は返事すら返してくれなかったのが、今では普通に会話している。
かなり刺々しいし、普通の会話じゃないのかもしれないが。
明日のデートに思いを馳せつつ、帰り道を急ぐ俺なのだった。
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