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「ちょ、ちょっと......」
「きゃああああぁぁぁぁぁぁ!!」
スクリーンにおぞましい肉片が映し出され、観客がどっと喧騒に包まれる。
俺はというと、素直に怖がらずにいられないまま、座っていた。
「.........っ...」
何かに耐えるように、ぎゅっと目を瞑り、俺のシャツの裾を破れるんじゃないかってくらい強く握るちなみ。
ちなみが動くたび甘い匂いが漂った。
これはもうゾンビどころではない。
教授の野望など、ちなみの好反応に比べれば、びっくり箱くらいのインパクトでしかないのだ。
「どうした、ちなみ、怖いのか?」
「.....違う...お腹が痛いだけ....医務室行く...」
「そうか....あの暗い通路を通ってか?」
「.....ひ..っ....」
面白い....これは面白いぞ。
結局映画のストーリーなど頭に入らず、ちなみを眺めているだけで120分が経ってしまった。
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