二度目の正直。

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「...きゃ」 入口の段差でバランスを崩す。 素早く左手を差し出して支える。 ちょっと柔らかい感触。 「..ちょっと...何触ってるの」 「触ったって..事故だろうが」 「やっぱり、下心だったんだ...最低」 「ち、違うっての」 「やっぱり、今日、来るんじゃなかった....最悪な一日」 「とかいって、結構楽しかっただろ?」 「有り得ない」 そんな会話を交わしつつ、帰りの駅へ歩く俺達。 いつもよりゆっくりな足並みも、悪くないなと思った。 「....ありがとう...」 「...え?」 それが、彼女からの、初めての感謝の言葉だった。
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