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見る見るうちに皿に盛られてゆく料理。
「よし、後はこれを盛りつければ完成、だな」
まだ少しぎこちなさの残る言葉遣いで翠星石が言う。
「あら? どうしたの翠星石ちゃん。あまり元気がないみたいだけど……」
「べ、べべ別に何でもない、です」
そういえば、少なくとも僕は翠星石が黙っている場面など見たことがない。蒼星石の言うとおり、このままでは感づかれてしまう。
この状況を打破する何かが必要だ。そう、すべてを吹っ飛ばしてくれるような異常な何かが……
あ、あった。
「───そのジャムは何に使うですか?」
この発言はたとえ翠星石の姿でなかったとしてもしただろう。
「ハンバーグのソースに混ぜるのー!」
「やめろです!」
「やめなさい」
「やめなよ……」
いつもどおり甘味嗜好っぷりを発揮する雛苺、それをいつもどおりたしなめる真紅たち。
これはこれでうまくいっているのかもしれない。
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