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───あ。
そういえば、いつもこいつらは食事中に騒ぐんだ。それが自然だった気がする。
……ということは、やっぱり再現しなきゃならないんだろうか。
たしか、いつも翠星石が雛苺のおかずを取るんだよな。
いささか気は引けるが、これも武士の運命(さだめ)……
───ちび苺、覚悟しやがれですぅ!
ギャギィン!
一閃。
ヒュッ、キィン!
二閃。
ヒュン! ガキィン!
三閃。
一撃一撃に必殺の威力を込めて放つが、そのことごとくを雛苺はイチゴジャムのビンで受け、流す。
「もう翠星石には盗られないのー!」
「甘い! もらったです───!」
カァァァン!
「何っ!?」
翠星石の突き出したフォークがフライパンに阻まれる。
「……二人とも、お食事中に何をしてるのかなぁ?」
これ以上ない素敵な笑みを張り付かせる姉。
「ひ、ひぃっ! ご、ごめんなさい!」
「ヒ、ヒナは悪くないのよ……ただハンバーグを守ろうと……」
「雛ちゃん? 翠星石ちゃんはちゃんと謝ってくれたわよぅ?」
「あ……あぅ……ご……ごめんなさいなのー……」
多少気の毒だが……許せ、雛苺……
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