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「やいちび人間。いつまで寝てやがるつもりですか」
「おーい、ジュン君ー?」
ドアから入ってきたのは身長70cmほどの2体のドール。
体型や顔はそっくりだが、まったく逆の個性を持っている。
一方は床すれすれの長い巻き髪と足元までを覆った深緑のドレスが印象的な、生意気そうな顔つきをしている。
もう一方は控えめでおとなしそうな濃紺のズボン姿のドール。その頭上には濃紺のリボンを巻いた黒いシルクハットを頂いており、一見少年にも見える。
「この翠星石がわざわざ訪ねて来てやったというのに呑気に昼まで寝てやがるとは……大した野郎ですぅ」
いつもなら蹴りの一発でも入れるところなのだが、今日に限ってはやけにおとなしい。というか、覇気がない。
「翠星石、この世界はキミを中心に回ってるわけじゃないんだよ?」
「そんなことは百も承知ですぅ……
でもでも、コイツは恐れ多くもこの翠星石のマスターでもありますのにいつもいつも真紅真紅と……」
青いドールは辺りを見回し、何かに気付いたようにハッとしてその口を開いた。
「……翠星石」
「何ですぅ?」
「……その真紅の姿が見当たらないようだけど、どこにいるのかな?」
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