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時刻は18時50分。
部活帰りののりがそろそろ帰ってくるころだ。
「ただいまー」
帰宅を告げるのりの声。
「……いい、ですね? しっかりやりやがれ、です」
「……わかった、そっちこそ翠星石らしく振る舞え、よ」
「しかし歩きにくい、です。なんて長いスカートです、か。」
「つべこべ言う、な。そのドレスはお父様から頂いた大切なものなん、だから、な。そっちこそこんなゴワゴワした服よく着てられる、な」
「みんなー、ご飯よーぅ」
翠星石は緊張から来る初めての高鳴る鼓動に困惑し、ジュンは目線の低さに戸惑う。
「蒼星石、のりの前ではなるべくジュンと翠星石には話しかけないで頂戴」
「……そうだね。分かった」
コツ、コツ、コツ……
「階段の一段が高く感じる、です」
「翠……僕には低く感じる、けど、な」
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