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「(翠星石、ちょっと耳貸せ)」
翠星石が小声でジュンを招く。
「(な、何ですか)」
「(料理のことなんだけどさ……わざと下手にやってくれないか)」
その話は、翠星石にとってはとても快諾できるものではなかった。
「(心配いらねぇです! 腕によりをかけて作ってやるです!)」
「(バカーーーッ!)」
───そう。料理人にむかって手抜きしろなどと言うのは愚の骨頂である。
「さて、のり……じゃなかった、姉ちゃん。ハンバーグ、作ろうか」
ジュンはのりに微笑みかける。───なんだかんだ言って、根はいい子なのだ。
「そうねぇ……ハンバーグは私が作るから、お野菜刻んでもらおうかしら」
「合点承知の助です!」
「ジュン……くん?」
「しまっ……な、なんでも……ない、よ」
つい地が出てしまった翠星石。
「翠せ……性悪人形の真似だよ、ハハハ……」
「あらぁ、そうだったのぅ」
(おのれぇ……覚えてやがれです! 翠星石に性悪人形と言わせやがるなんて……!)
青ざめるジュンin翠星石。
(く、苦しい……)
二人の受難は続く……
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