恋ってヤツ

4/29
前へ
/590ページ
次へ
名前も顔も知らない男を思い浮かべて悶々としていると、カズヒロの携帯が鳴りだした。 騒がしい車内ではたいして目立ちもしなかったが、カズヒロは反射的に通話ボタンを押して急ぎ足で座席を立ち去る。 カズヒロの存在に今更ながら気付いた近くの座席の人達が、驚いたようにその背中を視線で追う。 カッコイ~だの褒め言葉が耳に入るが、どうでもいい。 自動ドアの向こうにスペースを見つけて落ち着くと、携帯を耳にあてがった。 『…もしもし?』
/590ページ

最初のコメントを投稿しよう!

885人が本棚に入れています
本棚に追加