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名前も顔も知らない男を思い浮かべて悶々としていると、カズヒロの携帯が鳴りだした。
騒がしい車内ではたいして目立ちもしなかったが、カズヒロは反射的に通話ボタンを押して急ぎ足で座席を立ち去る。
カズヒロの存在に今更ながら気付いた近くの座席の人達が、驚いたようにその背中を視線で追う。
カッコイ~だの褒め言葉が耳に入るが、どうでもいい。
自動ドアの向こうにスペースを見つけて落ち着くと、携帯を耳にあてがった。
『…もしもし?』
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