884人が本棚に入れています
本棚に追加
/590ページ
冗談なのかどうか判断つきかねる物言いだったが、カズヒロはもはやいちいち気にしない。
『…本当に、色々ありがとうね…』
そしてこの瞬間、カズヒロは終わったと感じた。
ヒロミとの短かくて濃い時間は、たった今過去のものになった。
カズヒロは通話の切れた携帯を見つめると親指でそっとHOLDを押し、小さくため息をついて目を閉じた。
新幹線の静か過ぎる振動が鼓動と重なる。
カズヒロは長い夢から醒めたようにゆっくりと瞼を開けた。
最初のコメントを投稿しよう!