恋ってヤツ

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トゥルルルルルル… 今度は規則正しい呼び出し音だけがいつまでも耳に響いた。 そして結果、目の前の建物が完全に空であることを、視覚と聴覚で確認することになっただけだった。 カズヒロは緊張で僅かに汗ばんだ額を拭い、空を仰ぐ。 雲が多い灰色かがった夜空で、今夜は星は見えそうにない。 吐く息をモクモクと立ち上らせ、カズヒロはあてもなくフラフラと歩きだした。 どこにいこうというわけでもなく、ただこの場に立ち止まっていられそうもなかったのだ。
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