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私には俯くしか出来なかった。
後ろから美沙を呼ぶ声がする。隣のクラスの友達だ。
美沙は“ごめんね”と申し訳なさそうに友達の所へ行った。
その間も一人でこの状況を把握しようと考えこんでいた。
昨日の“私”と今日教室にいた“私”は同一人物なのか…。
何の目的で姿を現し始めたのか…。
…考えても考えても答えは出てこない。
私はまだ“私”を見ていない。
見えない“私”にこんなにも強く恐怖心を抱くなんて…。
そうこう考えていると美沙が戻ってきた。
『美沙…?』
美沙の様子がおかしい。
顔が青ざめている。
『どうしたの?何か言われたの??』
『あのね…私も居た。』
何の事かわからない。首を傾げる私に美沙は言った。
『だから!もう一人の“私”が居たの!』
『えっ!?どーゆー事!?』
驚きを隠せず、思わず美沙の両腕を強く掴んだ。
『ちょ、痛いって!!』
その言葉で我にかえった。
『ご、ごめん。でも、どーゆー事?何があったの?』
美沙はゆっくり喋り始めた。
『何かね…あの子達が言うには、昼休みの予鈴と共に“私”があの子達の教室に来たんだって。それで皆でトイレに行ったって。“私”が先にトイレに入ったから、外で待ってるって言ったらしい。でも、2人が出たらそこには“私”はいなかったみたい。それで探し回ってたら教室に居たから怒ってた。』
『何それ…有り得ない』
『私ここに居たよね!?ずっと江美と話てたよね!?』
『う、うん。美沙は私と居たよ。教室から出てないし』
気が動転してる様だ。
私の肩を掴み、涙目になってる美沙を何とか落ち着かせ様とした。
『と、取り敢えず落ち着いて。肩…痛いし(笑)』
軽く笑いながら美沙に話かけた。
余程不安なんだろう。
私の肩を掴む手に力が入っていた。
『あっ、ごめん。いきなりあんな事言われてテンパっちゃって…』
そう言うと苦笑しながら座った。
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