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何て声を掛けていいのか分からず、2人は暗く俯いたままだった。
私には何も言えない。
言えるはずがない。
自分も同じ体験をしているから…。
“何かの間違いだよ!”何て軽く言えない。
彼女の気持ちを一番分かるのは私だから…。
そんな状況を打開してくれたのは彼方だった。
『何2人で暗くなってんの!?お通夜してんなよ~(笑)』
こっちの状況も知らずおちゃけて話し掛けてきた。
『あのね~!!』
と、美沙のもう一人の“私”について話した。
『気にすんなって!そっくりさんが流行ってるんじゃねぇ?(笑)』
笑えないよ彼方。
自分は何もないからそんな事言えるんだよ。
少しムッとした私と美沙。それを感じたのか彼方は
『そんなに気になるなら、放課後3人でそのそっくりさん探すか?本人が逢って確かめた方がスッキリするだろ?』
一理ある。
私と美沙はもう一人の“私”の話は聞くが、実際には逢っていない。
だからこそ、不安が募るのだ。
逢って話が出来れば少しは不安がなくなるかも…
美沙も同じ考えだったのか、目が合うと頷いた。
『じゃあ放課後探しに行こ!』
『了解!じゃあもう今は暗くなるなよ!分かった??』
『『は~い(笑)』』
先生みたいな口調の彼方に少し笑みがこぼれた美沙と私。
目が合うとまたクスッと笑った。
こんな時頼りになるのはやっぱ彼方だよねー。
いつも私達を引っ張ってくれる。
頼りになるお兄ちゃんだよ(笑)
放課後までは何も考えずにいよう。
少しでも不安を軽くしたい…。
今はこの楽しい一時を味わおう。
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