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『取り敢えず、どうする?もう学校の中にはいないだろうし。』
『そうだね~。いつも皆が帰る道を探そっか』
あれから、美沙と私のもう一人の“私”を見たと言う話は聞かなかった。
学校での私達の行動を知っているなら帰り道、家を知っている可能性は高い。
『クレープ屋に行ってみよっか…』
昨日初めて“私”を目撃した場所。唯一の手掛かりはそこしかなかったのだ。
こんな時にクレープ食べるの?と言う様な顔している美沙に昨日の事を話た。
納得してくれたので皆でクレープ屋のある公園へ行く事にした。
校門を出ようとした時だった。
誰かが何か叫んでる。
後ろを振り返ると距離があった為聞きとれなかったが、叫んでるのは彼方の友達なのは確認出来た。
『あれ彼方の友達じゃない?彼方の事呼んでるのかも』
『あぁ。隆だ。何だろ?』
『ハァ、ハァ…。彼方、今朝先生に怒られなかったのか?』
走ってきて聞いたのはこんな事だった。
『何で?』
『何でってお前!朝練予鈴鳴ってもやってたじゃねーか!教室に間に合わなかっただろ?』
その言葉に皆血の気が引いた。
朝練など出ていない。
ましてや、予鈴が鳴った時は私と一緒に教室に居たのだから。美沙と会話していたのだから。
一瞬ボーッとした彼方だがすぐに返事をした。
『あ、あぁ。それが運良くて先生まだ来てなかったんだよなぁ(笑)』
『そっかぁ。俺ギリギリアウトだし(笑)今日は帰るのか?明日の朝練は?』
『今日は帰るわ。気分悪いし。明日は分かんね~』
『そっか。じゃあな』
『おう。またな。』
流石の彼方も参った様子だった。
まさか自分にも現れるなんて思ってもみなかったのだろう。
『彼方…』
心配そうに見つめる私と美沙に、元気を見せようと、
『ははは…。探す人物もう一人増えたな。面倒くせぇな(笑)』
と、笑って応えた。
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