探索

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公園までの道のりがやけに長く感じた。 いつも賑やかな彼方まで沈黙…。 重い空気が流れる。 皆自分の事でいっぱいいっぱいなのだ。 『3人でお通夜帰りか?(笑)』 声をかけてきたのはクレープ屋のおじさん。 やっと着いた。 言葉を返せずに居ると 『お、おう。3人で赤点とっちまってショックでよぉ(苦笑)』 彼方がつかさず応えた。 『そ、そうなんだ。抜き打ちだったし!ねっ!美沙?』 続けて私も応えた。 『う、うん。今回のは難しかったよね。』 慌てて美沙も合わせる。 様子がおかしい私達を見て、首を傾げながらも『そうか』とおじさんは納得してくれた様だ。 【私達、もう一人の“私”を探してるんです!】何て言った所で、誰も信用してくれるはずはない。それなら何も言わずにいておこうと、皆は思ったのだ。
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