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家に着いた。
もう何も考えられなくなり、もう一人の“私”を探す所ではなくなった…
『ごめんね…』
そう呟くと私は家に入った。彼方達は『気にするな』と言っていた気がする…聞く気力もなくなっていた。
家に入るとお母さんが玄関までやってきた。
『早かったわね?何か忘れ物でもしたの?』
『な、何が?』
『だってさっき遊びに行くって出て行ったじゃない。』
『えっ?』
まさか…
もう家にまできたの!?
『……ッてない』
『えっ?何?』
『遊びに何か行ってない!私は今帰ってきたの!一度も家に帰ってない!どうして!?どうしてお母さんなのに私が分からないの!!』
やり場のない不安…怒り…悲しみ…
お母さんに八つ当たりだ…
お母さんなら…私を見分けてくれると思った。
なのに…
なぜ…?
お母さんは、急に怒鳴りつけた私を心配そうに見てる。
どうしたのか、どうしたら良いのか分からず慌てている。
ごめんね…お母さん。
お母さんが悪い訳じゃない。だけど…だけど…
『もぅ嫌ぁぁぁ!!』
叫んで家を飛び出した。
目の前にはまだ彼方達が居た。
家に入った途端、私の大声が聞こえたので心配して様子を伺っていたのだ。
涙が溢れ出た…
2人はどうしたら良いか分からず困惑していた。
取り敢えずこの場を離れようと歩き出した。
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