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目をキョロキョロさせ、爪を噛む私にはない仕草で、私の顔が朱を帯びる。
盗み見るようにこちらを伺う卑屈さに、殴りたい衝動を何とか押さえる。
「ちゃんと言いなよ」
「ウウ、だって」
「私には知る権利がある」
「それは、ボクが、その身体だったから、辛くて、死にたかった、から」
「病苦?」
「ちが・・・・・・」
「コンプレックス?」
「よくわからな、いけれど、多分、そう」
「何が?
どこが?
普通じゃん、痩せてチビなところを抜かせば。
だいたいこの先、身体なんて、更なる悩みのテンコ盛りだよ?
メタボやハゲや生活習慣病や、だからこんなの悩みのうちに入らないって」
「そうじゃなくて、ボクは」
自分の目とあった。
自分の顔のパーツで唯一好きだったはずの目が、今はすごく嫌なものに見える。
それは草食動物のように黒目がちで弱々しい。
私の目じゃない。
「ボクは?」
「ボクは、都と結婚したいんだ」
「誰それ?」
「お兄ちゃんだよ」
「お兄ちゃん!?」
軽く気を失いかかり、いやいやいや、自分難聴だからと、聞き返した。
「お兄ちゃん、ん?」
「うん」
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