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「お母さんがわからなかったら、他に誰が分かるっていうんだよ!!バカぁ!!」
泣き崩れ、やがて誰かわからない人に抱えられ、引きずるように病室に戻された。
焦燥<しょうそう>や絶望が入り乱れ混乱し、何度となく狂声を上げたおかげで、安定剤だか沈静剤だかを打たれ、無理矢理睡眠へ落とされた。
目覚めるたび、今までのことが夢でありますようにと願う。
そして虚しく、都の顔を見上げる。
ああまだ悪夢は終わらないのか。
「ずいぶん大騒ぎしたそうだな」
怠い。
「かわいそうに」
裏腹な笑みに、血圧が上がる。
殺したい。
「消えろ、そして死ね」
「後半は無理だが、前半の望みは叶えてやろう」と頭に触れる。
「気安く私に触るなよな」
「どっちの」
「どっちもだ、お前達の爛<ただ>れた事情をガキから聞いた。
私に触ったら殺してやる、お前も、京も」
「小6のガキに何ができるのかな?
謀殺<ちゅうさつ>するにも、金も力もないガキには無理だと思うが」
「望を叶えてくれるんじゃなかったの?」
「何?」
「早く消えろ」
「可愛くないガキだ」
嬉しそうに出て行く男の後ろ姿を見て、弟のもとに向かったのだろうと思った。
ナースコールを押し、睡眠導入剤を要求する。
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