ラブフィニティ

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「泊めて」 「ひやっ、キョウ君どうしよう、私ノーメイクだよ、ちょっと待ってて」 「いいよ、ソウちゃんはそのままで可愛いから、上げてよ」 「えっ、ありがとう、でもどうしたのこんな時間に、また何かあった?」 「うん、都がウザくてさ、あいつ最近やたらと兄貴面するようになってさ」 窓子はとくに見るともなくつけっぱなしにしていたテレビを消し、キョウの定位置にクッションを置いて勧めると、いそいそとキッチンに消えた。 「お構いなく」 キョウは部屋に入るなりラックからCDを物色し、気になるのを四五枚取り出して、一つをデッキにセットしすると、最初の方だけを二三トラック聞いて確認し、そのディスクに決めて曲をかけた。 クッションに腰をおろし、部屋を見渡す。 誰かの思い出まで引き受けているかのように、統一性のない物で溢れた棚やケースを窓子らしい色の布や飾りで覆っている。 モノクロの自分の部屋にはない赤やオレンジがクドくなり過ぎずに、配色されている。 写真雑誌とシルバーアクセサリーの雑誌、その傍らの一眼レフの技巧書、バリ風家具、イングリッシュガーデン、ハーブ、短大で使ってる教科書類。 一見共通しているようで、何かが違っているように思える。 (なんだろう) ぼんやりしていると、細く柔らかい手で後ろから目隠しをされた。「私は誰でしょう?」 キョウは背中に当たる窓子の胸に動揺する自分に動揺しながら「ソウちゃん?」と彼女の意図を測りかねて呼んだ。 「ヘヘッ、見て見て」 振り返るキョウの目の前に、ミニスカサンタが胸を寄せて鎮座していた。 「遅!!」 「だって、クリスマスはキョウ君つかまらなかったから」 「あー、うちのジジイが家族で過ごせってうるさくてさ。 あいつ夜中にプレゼントもって部屋に入ってくるから、そんな儀式はいらねえって大喧嘩になって、最悪だった」 「私からもプレゼントがあるんだよ」 「『私』ってのはなしね」 「えっ、じゃ、じゃあ『私の愛』で」 キョウは興味ないように冷めた半眼で、肩を竦〈すく〉めた。 「キョウ君可愛げな~い」  「子供扱いしないでください」 「子供扱いなんてしてませんよ、ウフフ」 窓子はついと顔を近づけて、眼鏡のブリッジを親指と人差し指で摘まみ、蠱惑〈こわく〉的な表情を浮かべた。
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