ラブフィニティ

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「ちょうどよかった、ダイヤモンド富士を撮りに行くんだが、お前も一緒に行ないか?」 「これから山中湖へか?」 「そう、天気もいいし、ドライブと思って付き合えよ」 「お前の目当ては窓子だろ、窓子は昨夜一睡もしていないから、しばらくは起きないぞ」 「どうした、何かあったのか?」「別に、小林が気にするようなことは何もない。 客が来てるから、悪いが、日を改めて誘ってくれるか」 「えっ、誰なんだ客って、今いるのか?」 亮は陽一郎の肩をぐいと押して店の中に入った。 「おい、勝手に入るな」 店の奥にある居住スペースの入口に置いてある男物のスニーカーを確認すると、亮は察したように「あの子か」と追いついて前に立ち憚る陽一郎に聞いた。 「ああ、まだ寝てるから」 それ以上の侵入を拒む陽一郎を無視して、亮は靴を脱ぐ。 「いいじゃないか三人で行けば。もう昼だぞ、いつまで寝かしておくんだよ」 押し通ろうとする亮と阻もうとする陽一郎とで揉み合って、体一つ抜いた亮が、片手でドアを弾くように押し開けて窓子の部屋に傾〈なだ〉れ込んだ。 「ッツ、危ない、転ぶところだっ……、ヒッ、なっ、お前ら、そんな……」 片手で口元を覆いながら亮は破廉恥きわまりないものを見たように、振り返り、驚き咎〈とが〉める視線を陽一郎に向けた。  「お父さんに説明しなさい、彼は何で半裸なんだね、ええ?」 きき過ぎた暖房と、日差しで蒸した部屋で、キョウは掛け布団を抱きかかえるようにして背中をこちらに向けて眠っていた。 「窓子がやったんだよ」 「やっそっ、それはつまり……」語尾を濁す亮の誤解に気付き「ったく、いちいち説明しないとならないのか」と陽一郎は眉根を寄せた。
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