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「ええ、そんな気を使ってくれたのか、本当ありがとう。
お前が昔から俺のこと好きだったのは知ってたけど、こんなに優しくされたからって、俺、お前に友情以上のものは返せないぞって、イッテ、殴んなや!
俺は怪我人やぞ!
この暴力ゴリラ!!」
「悪り、忘れてた。
怪我人なら、怪我人らしく大人しくしとけよ。
見た目が変わっても、中身は全然変わんねえのな」
(変わってないんだ…この子たちにとって、俺は俺なのかな……)「お前は変わったよ」
キョウが優しげな眼差しを向けると、滝田はたじろぐように言葉を詰まらせた。
「えっ」
急に期待感が高まり、滝田は動揺する。
「お前は、おっさんになった」
「ああ?
テメエ、クソッ、なんだよ、もっと違うこと言うのかと思っちまっただろが」
「私もです」と蓮池が残念がる。「あれ、だって、全然中学生じゃないよこの人、こんな中学生やだよ、先生も教えにくいって、こんな部長クラスのおっさんが教室にいたら」
「いい加減にしろや」
「ああ、なに俺に凄んでんの? 体格差だけで俺に勝てると思うなよ、だいたい、お前さあ、どれだけ人集められんの?
せいぜいリスキーとノッポさんぐらいなんじゃねえ?」
「誰だそりゃ、田村と沼田のことか?
あんなのハッタリだ、あいつら勘違いしてたみたいだけれど、俺高校生でもねえしな」
「でも、マジで……マジでありがとう。
俺、歯折られずにすんだし、あれ以上は正直きつかったし、けっこうホッとしてんだ。
ラッキーだったって思ってる。
二人とも感謝してるよ」
「俺はカリを返しただけだ、気にするな」
「なんか、こういうやりとりってかっこいいですね」
目を輝かせて言う蓮池に「じゃろ?」とキョウはほほ笑んだ。
「ところで、カリって何?
俺、なんかお前にカシがあったっけか?」
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