ラブフィニティ

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「うん、ありがとう。 ところで一ついいかな、今日は二人はデートだったの?」 「ちがう・ちがいます!!」 ハモル大音量に、キョウと夕海は指で耳を塞いだ。 「偶然会ったんだよ」 「本当です、私が橘さんを見つけて、電話して警察に来てもらうよりも、直接交番に行ってお巡りさんを呼んできた方が早いと思って走ってた時に滝田君がいて、それで……」 「そうなんだ、別にそんなに慌てなくても、俺はどっちでも、デートでもそうじゃなくても構わんよ、別に言いふらしたりするつもりもないし。 ただ、デートだったなら邪魔しちゃって悪かったかなって思っただけだよ、ごめん蓮池さん」 「俺にも謝れ」 「何言ってんだ滝田、お前、いまちょっと、ときめいちゃってんじゃないの?」 「はあ?」 睨む滝田をキョウはしらっと受け流す。 「本当、仲いいですよね」 「そんなわけねえ」と滝田は怒り「そうだよ、知らなかった?」とキョウは笑った。  浅い眠りから覚めるたびに、ダルさが増していくようだった。 ダルいながらも薬を飲むために何とか、滝田母に見守られながら粥〈かゆ〉を胃に入れる。 そうして滝田の家の仏間で、滝田家の人々の遺影に見守られながら一人ひっそりと眠っていると、カサリと音がした。 なんとなく物音を聞いていたが、再び瞼が閉じ、次に目を覚ました時は、腫〈は〉れた頬にあてがわれた氷を取り換えに、夕海が部屋に来た時だった。 俄〈にわ〉かに覚醒した耳が、夕海が何者かに向かって小声で叱〈しか〉っているのを聞いた。 キョウは夕海に目だけでお礼を示し、再び目を閉じた。 夕海が戸を閉めて出ていく。 しばらく完全に眠りに落ちきらずにいた耳が、何かの気配をとらえた。 パタパタと畳みの上を移動し、ポスンポスンと掛け布団の上に移動してくる。 やがて腹をボスッと踏まれた。 キョウは「ギャ」と小さく声を上げる。 「おお、踏むのはよしてくれ、布団に入れてあげるから」 キョウは灰色の猫を素早く捕まえると、自分の布団の中に押し込んだ。 そうしてしばらく眠っていたが、猫を抱えている腕がダルくなりだして再び目を覚ました。 人の気配に顔を向けると、滝田が横で布団を敷いていた。 「なにお前、ここで寝んの?」
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