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「あらあら、もしかしてコクられちゃってんのあたい?」
「チッ、変な夢じゃねえよ」
「じゃあ、どんなの?
あたいはどのように出演してんのかすぃら?
ラブシーンあり?」
「あのなあ」
ガサリと布団をはだいて起き上がろうとする気配に、キョウは慌ててオカマ声をやめ「内容を言え」と真面目な声に戻した。
「世界の終りみたいなところで、お前が膝を抱えて座ってんだ」
「世界の終り?」
「ああ、えっと、なんか核爆弾投下後の地上みたいなとこだ。
荒涼とした何もない地面に、死の灰が雪みたいに降って来て、空は曇天で、お前は灰塗れで」
「シンデレラかよ」
「聞けよ」
「はいよ」
「そんで、俺が来ると、俺のせいだって責めんだよ」
「何が?
世界が終るのが、お前のせいなのか?」
「それが、よくわからねえ。
俺のせいで、とにかくお前は大事なものを失ったみたいな事を言うんだ。
それで、同じ目にあわせてやるって。
内容は変わっても、お前が出てくると、必ずお前はそう言うんだ。だから、お前は俺に言いたいことがあるんじゃないのかって思えて、どうなんだよ?」
「ねえよ、別に」
「おい、即答すんな。
もっとよく考えてみろよ」
「くだらねえ、何で俺がお前の夢の答を知ってんだよ。
だいたい、それは俺じゃなく、お前が俺に対して思っていることだろうが。
お前が、俺がお前を責める理由を持っていると思いこんでんだよ。それでお前は俺に何をしたんだ?俺に言いたいことがあるんじゃないのか?」
「橘」
「別に、言わなくてもいいけれど、夢ってのはそういうもんだろ。俺はもう、お前らなんてどうだっていいんだ、マジで。
だから、俺のことでくよくよ考えるな」
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