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~北校舎1、2階~
徹達は1階を調べ終え、2階へ上がってきた。そして、まず理科実験室へ入った。
「夜の理科室は怖ぇなぁ……」
大樹はホルマリン漬けにされているカエルを見て「うぇ…気持ち悪」と呟いた。
「早く調べて次行きましょうよ、ここが1番いたくないから。」
早織が2人をうながす。
「そうなのか」
徹が聞く。大樹は今度はニワトリの剥製を眺めている。
「薬品の臭いが嫌いなの」
早織が答える。
「へぇ…」
そこで会話は途切れた。
10分くらい調べてから大樹は2人に声をかけた。
「おぉ~い、次の部屋調べようぜ。ここには何もないだろ」
「そうだな、次へ行こう」
徹もそろそろ次の部屋に行こうと思っていた頃だった。
理科実験室を出て美術室へ入った。美術室は理科実験室の薬品の臭いとは別で、絵の具の臭いが充満していた。壁には夕焼けと海の風景画と女性の横顔を描いた絵が飾られていた。夕焼けと海の風景画は隣同士に並べられていた。
「ここも何もなさそうだな。」
大樹は奥に置かれているスケッチブックをパラパラめくって見ている。
「ねぇ、これ何かしら」
早織が徹に聞きながら1枚の紙を見せてきた。
「ん」
徹がその紙を見ると、こんなことが書かれていた。
『美しき絵画に挟まれ、少年の時間は止まる。そして、少女は狂気によって赤い花の散る中で眠りにつく』
「意味がわからない」
「少年と少女……」
徹と早織が悩んでる後ろで大樹はまだスケッチブックを見ている。
そして一通り調べたので、隣の準備室へ行こうと大樹に声をかけたが、大樹はもう少しここにいると言うので、徹と早織だけで準備室を調べに行くことにした。
「準備室か……」
「何か手がかりになるものがあればいいのだけれど」
2人で手がかりになるものを探していると、美術室の方からドッという音がした。
「何だ」
「清水くん……」
2人は美術室のドアを開けた。そして、音の原因を理解してしまった。
「うそ……」
「大樹が」
清水大樹は、夕焼けと海の風景画の間に挟まれ、胸をナイフで一突きされて死んでいた。
「美しき絵画に挟まれ、少年の時間は止まる………」
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