第1章 雨の学校

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 司は外へ出て、傘を持ち忘れたことに気付いた。   「ヤベ、傘忘れた。占い当たってるし……」   そう言いながら玄関の傘立てから自分の傘を取出し、学校へ向かった。       ~学校~  司は自分の教室へ入ると、それと同時に男が飛び掛かってきた。   「司~今日の歌手の特集見たかぁ~」   そう話し掛けてきたのは、司の小学校からの友人である藤田 徹(ふじた とおる)だ。   「見てないよ。だからオレは好きじゃないんだって」 「あれ……お前好きって言ってなかったか」   「それはオレじゃなくてオレの妹。」   「あぁ、そっかぁ~。ハハハ」   徹はこういう性格なのである。何事にもマイペースなのだが、肝心な時には頭のキレる変り者だ。   キーンコーン……   学校のチャイムが鳴る。その時、司のクラス担任の高塚(たかつか)が入ってきた。   「出席とるぞぉ~。と、その前にこのクラスから半分放課後残って卒業式の飾り付けやってもらう奴を決めるぞ。えぇと……30人丁度だから、15人だな。じゃあ、席の隣同士でジャンケンして負けた方な。」   えぇ~と騒ついたが、渋々ジャンケンを始めた。司は負けてしまった。どうやら徹も負けたようだ。物凄く落ち込んでいるようだったが、司はそれが笑えて仕方なかった。     そう、この日学校で何が起こるかも知らずに。
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