プロローグ

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…確かに、幼い頃から丈夫な方じゃなかった… それでも小学校は普通に通えたし、夏休みには真っ黒に日焼けするほど遊んだ事もあった。 六月。中学に入ってすぐの頃。来年から始まる、水泳用の水着を注文した翌日。その時、初めて入院ってのを経験した。 一学期の中間テストの少し前、降り始めた雨が、やけに冷たい日だった。 真っ白な梅雨空の中。そりゃあ、最初の頃は、クラスの皆も毎日のように見舞いに来てくれた。退院した頃には、週末の度に、家にも遊びにきてくれた。 …でも、そんなのは最初だけ。 秋を迎え、冬を越し、入院、退院、通院…そしてまた入院を繰り返し… かつて、友達と呼んでいたクラスメイト。いつしか、知り合いへと変わった。 そして、他人へと変わった。 季節を重ねる毎に、彼等の記憶からわたしは消えたようだった。 …どうやら、”良い気がしない”らしい 普通に生きている人にとって、わたしの存在ってのは、だから…消されたようだ… 幾つもの季節を、白い梅雨空を誰とも言葉を交わす必要もなく過ごした。 わたしの英語の教科書は、一年生の中間テスト以降、まっさらな状態だった。 そこで…わたしの時間も止まったらしい
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