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2004年 初夏
流れる汗。運転免許試験場に設置された大きな電光掲示板。一斉に点灯をはじめたライト。俺にも他の皆と同じように、自分のナンバーを目で追う。
237、237…
チカチカと約8割りほどのライトが点灯する中、無事に自分の受験番号が光った事を確認した。
ちょうど昼過ぎの為か、よく空いていた車内。
そんなガラ空きの車内を、俺は試験場からの帰路についていた。
左手には貰ったばかりの交通教本、胸ポケットには真新しい免許証。
これで俺も、普免許持ちか…
別に、車に乗りたかった訳じゃない。他に何かの目的があった訳でもない。
只、まわりの連中も教習所に通っていたし、車の免許くらい取っておけと言われただけだった。
その夜。
親に免許が取れたことを報告すると、『そうか』と、短く返された。試しに、車を貸してくれと言ってみたら、同じように短く、ダメだ。とだけ返された。
別に車に乗りたかった訳じゃないけど、その返答はあまりに予想通りだった。そんな親だった。
翌日。寝覚めから胸が苦しかったので病院へと向かった。
普段から俺は、病気なんてもんに縁がなかった。だから、受付の待ち時間は、ひどく退屈に感じた。
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