プロローグ

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2005 1月     年が明けて、また帰って来た病院。 何故かその日は、いつもの4階ではなく、談話室のような部屋に行った。行かされた。 そして、オヤジと医者の先生、それに俺も交えた三人でいろんな話を聞いた。聞かされた。いわゆる、告知というやつなんだろう。 すごく遠回しな言い方だったが、そう解釈した。死ぬらしい俺は。   『そうですか…』 だから、それだけを返した。他に言葉は見つからなかった。 入室してから出るまでに、口にしたのはこれだけだった。 俺の返事を受け、手に持ったボールペンを走らせる先生。恐らくはホスピスへの手続きだろう。 あくまでも事務的な態度だった。オヤジも似たようなもんだった。 …こんな簡単なモンなんだ… それが俺の率直な感想だった。 そして、その日を境に4階から7階へと、6人部屋から個室へと変わった。
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