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「そうかそうか、ちゃきがついに、恋をしたか」
嫌な反応。よく考えたらこいつ、結構な厚顔無恥だな。類義語には厚かましいという言葉もある。
「誰に恋したの?あ、オレが当てたる」
やめてくれ。適当に言ったら当たると思ってやっているのだろう。そうだよ、僕は嘘をつくのが、超がつくほど下手くそだ。よく言えば、超正直者になるけど。
「真中は、違うか。じゃあ今治…じゃないのかよ」
当てずっぽう…ねえ。
僕の通う、中岡中学校は、二年生全員で二百二十六人、男女で分けると、男子は百二十四人、女子は百二人だ。
それにしても、こんなに多い女子の名前、よくこんなに覚えてるよな…。
「白川には椿がいるし、と西宮には潤がいるよな」
僕はじきにくる衝撃に耐える体勢に入った。
「木原、樹橋、桐島、桜井…違うのかよ」
当たらないなあ。少しにやける。ところが、これで完全に気持ちが緩んでいた。
「…柳井麻紀絵」
確信犯?体がビリッと痺れ、光を見てたはずの目の焦点がぼやけた。
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