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「そんなに疑うなら、教えてあげようか。実例」
いいよ。どうせまた嘘だろ。光はなかなか本当のこと言わないからなあ。
もしかしたら、ムキになってるのかも。光のほうが、柳井さんを好きなんじゃないのか。
「まず、七組の若本達也の場合」
でも、毎回毎回嘘が瞬時に思い付くのは、すごい。認めてやる。
「柳井と付き合い始めて一日目にて…。いつも通り学校に通っていた達也は、階段で柳井を見掛け、手を上げた」
「よっ、て感じか」
「そう。そしたらどうなったと思う?」
ありがちなパターン。
「階段を転げ落ちた」
「ザッツライト!まるで蒲田行進曲のように…」
蒲田行進曲が頭に流れる。その中で達也が転がり落ちる姿を想像すると…悲しいことに、噴き出してしまった。
てか、達也って誰?
「さらに、一組の大間正木の場合」
もういいよ。
「告られてからいくらか経ったある朝のこと。いつものように階段を上り、教室を目指してたら…」
予想はできる。予想はできるけど、確かではない。
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