不幸の、女神…?

5/9
69人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
「そんなに疑うなら、教えてあげようか。実例」 いいよ。どうせまた嘘だろ。光はなかなか本当のこと言わないからなあ。 もしかしたら、ムキになってるのかも。光のほうが、柳井さんを好きなんじゃないのか。 「まず、七組の若本達也の場合」 でも、毎回毎回嘘が瞬時に思い付くのは、すごい。認めてやる。 「柳井と付き合い始めて一日目にて…。いつも通り学校に通っていた達也は、階段で柳井を見掛け、手を上げた」 「よっ、て感じか」 「そう。そしたらどうなったと思う?」 ありがちなパターン。 「階段を転げ落ちた」 「ザッツライト!まるで蒲田行進曲のように…」 蒲田行進曲が頭に流れる。その中で達也が転がり落ちる姿を想像すると…悲しいことに、噴き出してしまった。 てか、達也って誰? 「さらに、一組の大間正木の場合」 もういいよ。 「告られてからいくらか経ったある朝のこと。いつものように階段を上り、教室を目指してたら…」 予想はできる。予想はできるけど、確かではない。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!