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「柳井とオレ、幼馴染だからさ」
へ…?
「陰では不幸の女神って呼ばれてるけど、そんなのありえん。オレは、柳井の優しさも、明るさも、されたくないことも、知ってる」
光が俯く。そして、ベッドの近くにあるイスに座り、膝に肘をついて頭を抱える。目を覆い隠しているようにも見える。
「オレはそいつらが、マジで許せねえ」
もしかして、僕にその感情をさらけ出したくなくて、無理して笑いながらしゃべってたのか。
「ちゃきが麻紀絵を守ってくれ。付き合って守ってくれ。…いや、オレがフォローするから、一緒に麻紀絵を守ろうぜ。不幸の女神なんて、誰にも言わせない」
光の目は超マジだ。僕は、少しでも光のことを疑った自分が恥ずかしくなり、後悔の波が押し上げてきた。
光は、ずっと柳井さんのことを思ってたんだ。ずっと大切な幼馴染を考えてたんだ。光でも、守りたいものがあったんだ。
僕は…分からない。でも、親友のために、片恋の相手のために、やれるだけやってみようと思った。
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